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不眠症

「不眠症」には二種類あると思います。しいて名前をつければ、一つは「仮性」の不眠症、もう一つは「真正」の不眠症です。登校拒否の諸君の場合、その両方の可能性があるのです。「仮性」の不眠症。諸君は特に小学校高学年から上の年齢の諸君は、ほとんど「昼夜逆転」となります。睡眠のサイクル自体が大きくずれるのです。

諸君にとって真夜中の12時はせいぜい夕方、ちっとも眠くありません。朝の6時〜7時は真夜中、ぐっすり眠っている時間です。どんなに起こしても起きない。無理に起こせば、意識が朦朧(もうろう)としている。周りは「もう寝なさい」と言います。「夜遅くまで起きているから、朝起きられないんだよ」と言います。

表面だけ見ればそう見えてしまうのですが、事実は諸君にとって夜の12時はせいぜい夕方ですので、まだ起きている真っ最中の時間です。寝ようにも眠れないのです。無理に眠ろうとすると、どうしても眠れませんから「不眠」と同じ感じになり、新たなストレスがかかります。「不眠」の苦しみは経験した者でないと分りません。頭は完全に覚めているのです。朝になればちゃんとぐっすり眠れるのですから。

「真正?」の不眠症には僕も若い頃、何度か苦しめられました。これは睡眠のサイクルに逆らって寝ようとしたり起きようとしたりということではなく、そもそも眠れなくなってしまうのです。これも心理的な心の深い部分から吐き出される「恐怖・不安」が、身体に症状として現れた現象だと僕は思います。

気分として見れば「うつ」の現れと言えます。この場合はその解決のためにカウンセリングや医療の助けを借りることが大切です。程よい安定剤、抗うつ剤、誘眠剤を処方してもらうことも必要です。もし軽度ならば、何故そうなっているのかをよく承知しつつ、しばらくその不眠と付き合うということもあっていいでしょう。

問題はその程度です。強弱です。あまりに大変ならば、それがまた新たな大きなストレスになるわけで、これ以上ストレスを加重することは避けなければなりません。

「仮性」の不眠(不眠感・・でしょうか、事実は)も実際にはかなり多いのです。この時は「生きる基本にしっかり戻ること」です。すなわち、「眠くなったら眠る。起きたくなったら起きる」。何かとてもだらしなくいい加減のように見えますが、登校拒否の時はそうでなくてもストレスで一杯になっておりますから、この生きる基本にしっかり立ち戻るのが何より大切です。「眠ろう、眠ろう」「眠らせよう、眠らせよう」としないことです。

形の上では「昼夜逆転」が起きているのです。しばらくその姿のままでいくのが、結局一番安全です。それの方が、かえって早く確実な展望が時間の流れの中で開けてくるのです。

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