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トラウマ、PTSD
「トラウマ」という言葉がしきりに使われます。僕はもちろん学問的に詳しく知っている訳ではありませんが、使われ方にどうも気になるところがあります。何冊かの本を読んでみたのですが、或いは新聞などでそれに触れているのを見ますと、その殆どが生まれてから以後、いわゆる「生育歴」の中でのこととして扱われております。
しかし、おそらく生まれた時には既に人間は沢山のトラウマを抱えているのではないでしょうか。ユングは「普遍的無意識」ということを言っております。哺乳類としての数千万年あるいは2、3億年の歴史の中で刻みつけられてきたとりわけ大きな傷が「トラウマ」としてあるのではないでしょうか。途方もなく長い歴史の中で、生育歴では考えられないくらいの大きなトラウマを人間は一杯心の奥に刻み付けているのではないでしょうか。
死の恐怖と言っていいほどの強烈な「恐怖」「不安」。生きるためにそこを通り抜けるしかなかったものすごい「怒り」「攻撃的感情」「破壊的衝動」、時に「殺意」。そういったものが今日の人類の一人々々に、生まれてくる子どもの一人々々に、したがって大人の一人々々にそもそもあるのだ。それがそのまま本当の「トラウマ」なのだ。そんな風に僕には思われます。
ただし、そのトラウマは心の奥深くに刻まれているものであり、平穏に暮らしていれば殆ど表に現れることはない。有って無いようなものではないかと。それが生育歴の中で何かの出来事に遭遇(そうぐう)した時、途方も無い恐怖、悲しみ、怒りといったものに遭遇した時、それをキッカケに一挙に外へ目に見える形でトラウマとして現れるのだ。そんな風に思われるのです。
生育歴の中ではそのような強烈なトラウマに遭遇することは滅多にありません。諸君達を見ていて、或いは僕自身を見ていて、何かの事でびっくりするほど過剰な反応を示すのはそのせいではないでしょうか。そのような背景があるからではないでしょうか。
そう考えないと説明つかないことが多すぎます。もちろん誕生以後に於いても、神戸や新潟の大震災、大津波、虐待など生命を脅かすほどの出来事はそのまま新たなトラウマになるのでしょうが。
PTSDについても僕は同じように考えております。
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のぞみ学園
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